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精密な顕微鏡治療・歯内療法
歯内療法とは歯の根の中の管(これを根管といいます)に関した治療を呼んでいます。
目で見えないごく細い根管内の治療です。この根管(シンケイの道)は細いだけでなく、彎曲していたり、複雑に枝分かれしていたりもします。また大臼歯などでは、一つの歯に根管が4本、5本と複数有り、その全てに完全な治療を行わなくてはいけません。
歯は、人体の中で一番硬い組織ですが、その中には、歯髄という軟らかい組織が あって、根の先のほうの小さな孔で、あごの骨の中の神経や血管とつながっています。
一般には、歯の神経の治療と言われ、歯を支える土台としての根(根管)の処置なので、根管治療(コンカンチリョウ)という治療法を行います。歯を保存したいという気持ちと、そのための良い方法を探究し続ける努力から生まれたこの『歯内療法(根管治療)』により、みなさんの歯を更に長生きさせることができます。
う蝕(むしば)によって破壊された歯であっても根管治療によって保存することで、もとの歯と同じく咬む力に耐え、永く機能することができます。
根管は直経1mm以下と非常に細く、しかも硬くなった部分や、彎曲しているものがあります。根管治療ではこれら根管に対して、小さな器具を完全に通過させ清掃し、形態を整える非常に高度な作業が行われます。
根管の治療が不完全であったり、新たな感染や損傷が起こった場合は、再治療が必要となります。しかし、現在の治療技術を持ってすれば、90%以上の確率で歯を救う事が出来ます。
まず、虫歯になった部分を削り取って、歯の神経(歯髄)のあるところまで穴をあけます。 そして、細菌が侵入し変質してしまった歯髄を除去して、神経の通っている穴(歯髄腔)と、それにつながる根の中の管すなわち根管の壁を少し削りながら、全体をきれいに清掃します。
歯髄腔の形や根管の数や形は、歯の状況により皆違います。 しかもこの作業は狭い口の中で、かつ直接みることの難しい歯での細かい作業です。 根管治療は歯科治療の中でも相当な技術を必要とするのです。従来はこの根管を手探りで治療していたため、その精度にはおのずと限界がありました、根管内に細菌が残れば、増殖して痛みが生じたり、膿がたまって腫れたりしてしまうのです。
肉眼では細い根管の中を見ることが出来ない為、根管内に汚れが残ったまま根管治療を終えてしまうことがあります。これが数年後に腫れたり痛くなる原因となります。もし痛くなってしまったら、再び根管治療をやり直す必要があります。しかし、再治療で完治する確率はとても低いといわれています。
また再治療をするためには、まずかぶせ物を壊し、さらにその中のポスト(金属の土台)を削り取らなければなりません。このとき歯を大きく削り過ぎると、歯の寿命が著しく短くなります。この悪循環が、歯の寿命を低くする原因だと考えています。この様な事態を招かないよう根管治療では、痛みや、歯肉の腫れ、歯の外観を注意深く観察し、さらにX線写真、CTによる診査、感染の状態を知る為の診査など、必要と思われる事柄を全て調べます。
その結果をもとに病状の原因となる歯の根の中心を通る細い管“根管”の処置を行います。
この様に、歯内療法は高度の技術を伴う治療です。そこで米国などには歯内療法を専門で行う専門医がいるのです。またそのような歯内療法専門医のもとでは、手術用実体顕微鏡が広く使用されています。
これまで手探りで行われていた歯内療法が、目で確認しながら治療されるようになってきているのです(Microenndodontics) こうした顕微鏡の使用による歯内療法の進歩にはめざましいものがありますが、日本での顕微鏡普及率はわずか数%にすぎません。
当院では顕微鏡を用いた精度の高い、時間をかけた丁寧な治療により、神経の中の汚れを徹底的に取り除くことで予後のよい治療経過が得られるように治療しております。
当院では、まずCT撮影による画像分析をすることによって、術前の診査を行います。その後、マイクロスコープを使用した根管治療(マイクロ・エンド治療)で、ラバーダム防湿を行ったうえで特殊な器具で細い根管の汚れをかき出してきれいにします。従来の治療法に比べて一回の治療時間は長くなりますが、より確実な結果を得ることが出来ます。
根管治療は歯科治療の基礎であり、大切な治療、つまりビルの基礎工事のようなものです。